ジブリ作品の中でも、王道中の王道『となりのトトロ』
今回は、出番は少なめですが重要な存在の「お母さん」に注目!
本編で入院中のお母さんですが、病名は何だったのか?
結核?それとも妊娠?それぞれの説を深掘りします!
『となりのトトロ』のお母さんの病名は結核?
いつもニコニコして、やさしく娘たちに接する『となりのトトロ』のお母さんですが
本作では、病名について一切触れられていないんです。
しかし視聴者の中では、「結核」という説が濃厚。
なぜ彼女の病名が「結核」なのか?
まずはそこから深堀りしていきます!
お母さんの病名が「結核」と噂される理由
お母さんの病名が「結核」と噂される一番の理由は
彼女が入院していた「七国山病院」は、結核患者を積極的に受け入れていた実在する新山手病院がモデルとなっているからです。
公式HPにも以下のように記載されています。
当院は八国山緑地が背に広がる場所に位置しています。アニメ映画「となりのトトロ」に登場する病院のモデルにもなった緑豊かな落ち着きある環境下で、長年に渡り地域医療を支えてきました。
出典:新山手病院HP
公益財団法人結核予防会新山手病院は、昭和14年に開設された結核療養所「保生園」を前身としています。結核の治療には清爽なる環境が欠かせないため、多くの療養所は郊外の人里離れた場所を選んで設立されました。
当時の結核治療は長期におよび、文字通り社会から隔離された生活を送る方々にとって、療養所はサンクチュアリであり、そこからはサナトリウム文学をはじめとする、独特の文化、芸術が生まれました。
出典:新山手病院 院長あいさつ
このようにモデルとなった病院が結核専門の病院だったことから、「お母さんは結核だろう説」が浮上したんだと思われます。
結核ってどんな病気?
そもそも結核ってどんな病気なんでしょう?
医師監修の医療情報サイト「メディカルノート」では以下のように説明されています。
結核とは、結核菌(Mycobacterium tuberculosis)に感染することによって発症する病気です。肺に感染して症状を引き起こすことが多いので、咳や痰などが主要症状として知られています。
戦前の日本では、結核をはじめとする感染症の流行や、それに伴う死亡率がとても高い水準にありました。しかし終戦の前後に導入された予防接種、X線診断、結核治療薬などが効を奏し、結核による死亡者数は1947年の146,241人をピークとして以後減少してきました。
しかし、現在でも毎年15,000人以上の発症数並びに2,000人前後の死亡者数を認めています(2020年時点)。この数字は先進諸国の中でも高いものであり、日本では結核を過去の病気と言い切ってしまうことはできません。
また、WHOの執行理事などを歴任し結核予防会の名誉顧問を務めた島尾忠男氏は、結核の感染力や入院期間について以下のように述べています。
結核になったとしても、早く発見すれば、ほとんどの方はまわりにうつす恐れはなく、6ヵ月から9ヵ月の治療で全治します。この場合の治療は、ほとんどが学校や職場を休まずにすることができます。
発見が遅れて肺に穴が開いてきて、痰を調べると結核菌が見つかるようになると、入院して治療しますが、最近の強力な治療では、軽い患者さんと同じくらいの期間で治せるようになり、入院はほとんどの場合3~4ヵ月ですむようになりました。
ほとんどの患者さんでは、入院後最初の2~3週間を過ぎれば、お見舞いにいけるようになります。病気は治っておらず、治療は未だ必要ですが、周りの人にうつす恐れはなくなるからです。
作中でも、サツキとメイは個室ではない大部屋のお母さんに会いに行っていましたね。
昭和の古い映画やドラマで、結核患者が手のひらに血を吐くシーンを見たことがあり
結核とは不治の病?という印象が強かったですが、今ではそこまで危険な病気じゃないみたいですね。
お母さんは退院できたの?
そんな結核を患っていたお母さんですが、エンドロールでは家族仲良くタクシーに乗り込み、退院していく様子が描かれています。
無事にお母さんは退院できたようですね!
他にも母娘3人の仲良しショットもエンドロールで流れています。
良かった良かった!と安堵しますが、完治退院なのか一時的な退院なのか…
少し不安は残ります。
(この少しの不安を含ませたままというのが、宮崎監督のお茶目なところ。笑)
決して楽そうには見えない生活で、入院費や治療費なども工面していたであろう、お父さん…。
そんな所帯じみたシーンは一切本編には出てきませんが、いろいろ考えてしまいます。笑
「となりのトトロ」のお母さん妊娠説
続いて、お母さんの妊娠説についてですが、なぜこんな説が浮上したのか。
それも答えはエンドロールにありました!
エンドロールでは、メイが赤ちゃんの面倒を見ているであろう様子が描かれています。
しかし、入院中のお母さんのお腹は膨らんでおらず、赤ちゃんがいるような感じはしません。
退院するときも、赤ちゃんはいませんでした。
メイといえば、サツキが通う学校のクラスにも馴染んでいて、マスコット的な存在になっていました。
となると、学校自体が保育園のような役割りになっていたのでは?と思われます。
それに、よくみると他にも小さい子もいました。
当時は、今と違って少子化の逆。
たくさんの子供たちがいて、その兄・姉たちが通う学校の校庭でよく遊ばせていた
なんて話しをおばあちゃんから実際に聞いたことがあります。笑
今では考えられない状況ですが、古き良き時代の昭和ならではの光景ですよね。
まとめ
ジブリの中でも個人的には一番好きな作品で、数えきれないほど観てきていますが、今でもさまざまな考察が挙げられていて、いまだに答えがわからないままの「?」があります。
今回は、お母さんにスポットを当てて病名と妊娠説について書きましたが
宮崎監督といえば、タイトルひとつにとっても強いこだわりがあると言われていて、作品の内容もいろんな角度から楽しめるように作られているのが特徴的。
この『となりのトトロ』も同じくそうで、「ホントはこうだったのかも?」みたいなところがいっぱい溢れています。
まさに、想像力が膨らむファンタジー作品。
他にも気になるシーンがありますが、これはまたのちにということで…。
トトロは都市伝説もありますよ