おすすめのサスペンス映画『カット/オフ』の解説と考察です。
この記事は本作をすでに観たことを前提に書いています。
まだ映画を観ていない方や詳しいあらすじ(ネタバレなし)を知りたい方はこちらの記事をお読みください。
それでは、いってみましょー
『カット/オフ』の解説と考察
『カット/オフ』の解説と考察ですが、あくまで可能性の1つという前提でこの記事を読んでくださいね。
まず、簡単にこの物語を言うと
誘拐されて自殺に追い込まれた娘をもつ2組の遺族が、犯人の刑期の少なさにブチ切れて、こんなの間違ってる!と復讐する話です。
登場人物を簡単にまとめるとこんな感じです。
登場人物 | |
ポール | 主人公の検視官 |
ハンナ | ポールの娘 |
エリック | 連続誘拐犯 |
イェンス | エリックに娘を奪われたポールの同僚 |
リリー | イェンスの娘 エリックによる最初の犠牲者 |
フィリップ | エリックに娘を奪われた運送会社経営者 |
シビル | フィリップの妻 服毒自殺をし、物語冒頭でポールのもとに変死体としておくられる。 (遺体の中には、ハンナの名前と携帯番号を書いた紙) |
レベッカ | フィリップとシビルの娘 エリックによる第2の犠牲者 |
リンダ | 元カレのダニーから逃げるために島に逃げてきた女性。 ポールの協力者 |
エンダー | コメディアンとして成功したいという野望に燃える用務員の男 過去に島でおきた投身自殺をポールに報告したことで、ポールの知り合いになる。 |
インゴルフ | インターンとして主人公に近づくIT長者の青年 |
インターンのインゴルフについて解説!
この作品で一番怪しい存在感を出しているのが、インターンとして登場した青年インゴルフです。
最初のころの、主人公を強引に車に乗せようとする感じとか
まぁとにかく怪しいんです。
しかもラストのあの立ち去る後ろ姿!
意味ありげに何秒も映されてますしめっちゃ怪しいです。
彼は、物語終盤で主人公を助ける理由をこう明かしています。
「僕の財団は世界中の検視官を支援してます。その理事長になってほしかったんです。」
これって、計画を企てたイェンス達の望みとも合致します。
(イェンスは主人公に、過去の選択が間違っていたと教訓を与えたかった)
なので、多かれ少なかれインゴルフはすべてを知っていながら主人公をうまく誘導していたのではないでしょうか?
それを裏付けるかのような、インゴルフの怪しい行動がこちら。
【イェンスのことを知っていた】
マリネック(イェンスのラストネーム)という名前を聞いて、すぐに「娘さんを誘拐した人?」と聞いてきた。
「聞こえてしまったんです 運転中に耳をふさぐわけにはいかないでしょ」と弁明するが、それ以前にマリネックという名前は一度も出ていない。
【次のヒントをあっさり見つける】
イェンスの家で検視報告書をすぐにみつける
また、ボート小屋で、写真と書類に埋もれたパソコンをすぐにみつける
【普通わからないことに気づく】
裁判官の遺体から判明した数字の羅列がGPS座標だとあっさり気づく
【タイミングもばっちり】
イェンスが拳銃自殺した直後に、絶妙なタイミングで部屋に入ってくる
(主人公はイスに縛られてたのに、あなたはどこにいたの?)
こんな感じで、インゴルフは主人公を不自然なくらいに導いているんです。
ちなみに、インゴルフ=ダニー説もありますが、リンダを救助した時に彼もそばにいたので、この可能性は低いんじゃないかと思います。
エンダーがグルの可能性について解説
島でリンダに協力した用務員のエンダーですが、彼はインゴルフに金で雇われたのではないでしょうか?
その理由がこちら
【理由①】
主人公が事件に気づいたとき、娘のハンナは自分の携帯をもっていた。
この時、ハンナは誘拐されていましたが自分の携帯で
「パパは監視されている」
「これはパパへの警告だって言ってたわ」
「エリックを待って、指示があるから」
と主人公に伝えます。
この時、ハンナのそばには誰がいたのか?
- エリックはハンナの監禁場所を知らない
※理由は後ほど書きます - フィリップは二日前には自殺している
- イェンスとインゴルフは島にいない
そう考えると、そばにいた人物は島にいるエンダーしか考えられません。
しかも、二人が電話している最中インゴルフは姿を見せていませんから、このすきにエンダーに指示をしたのだと思われます。
【理由②】
ハンナが誘拐されたことを知った主人公は、待っていられずに再度ハンナの携帯に電話します。
しかし、この時すでに携帯はハンナの手から離れ、フィリップの遺体に持たせてあります。
この作業ができるのは、島にいるエンダーしか不可能です。
そして、リンダが電話に出ます。
主人公はリンダと電話をしながら、インゴルフの車に半ば強引に乗せられます。
そこで、一旦主人公の自宅に解剖道具をとりに行くのですが、車に残ったインゴルフは誰かに電話しています。
おそらく電話の相手はエンダーで、リンダという女性が遺体を発見したと伝えたのでしょう。
本当は、嵐が止むのを待ってエンダーに発見者を装ってもらう計画だったと思います。
【理由③】
また、エンダーは裁判官の家のカギをなぜか持っていました。
「こんな嵐なのに家にいるわけない」というリンダを無視して、彼は強引に家の中に入っていきます。
そして自分は一目散に2階にいき、1階にあった遺体をリンダに発見させます。
彼は裁判官の遺体があるということを最初から知っていたのではないでしょうか。
こんな風にエンダーもかなり怪しいんです。
彼は、コメディアンとして成功する野望に燃えていましたから、インゴルフの金やコネに釣られたのだと思います。
実は安全だったハンナについて解説
それと、これは私も初見で見事に騙されましたが、主人公の娘のハンナはエリックから危害を加えられていません。
作中でエリックから乱暴されるシーンがありますが、あれはビデオ越しに過去の被害者たちをみているだけなんです。
その証拠に、乱暴されている女性は顔が見えないようになっており、ハンナ自身の顔がうつるときは顔のアップで身体はうつされていません。
また、エリックがロープをナイフで切るシーンで一瞬、被害者の顔が映りますが、ハンナの顔とはまったく違います。
(おそらく最初の被害者リリー)
物語ラストで無事に発見された時も、行方不明時と同じ服を着ています。
彼女はただひたすら映像をみていただけなので肉体的な被害はなかったんです。
それに、そもそもエリックは彼女がどこに監禁されているか知りません。
カギを手に入れた彼は、色んな部屋を探して「ほうびは・・・どこだ」「どこなんだ」と言っていたことからもこれは明らかです。
けど、これを考えると
第2の犠牲者レベッカの父親フィリップは、自殺前のビデオで
「ハンナとサドラー(エリックのラストネーム)を二人きりにした 見つけたければアルカトラズの光をたどれ」
と言っていましたが、あれはウソだったのでしょうか?
しかもこのときフィリップは、その手でエリックを殺したと思い込んでいるはずですから、この発言は明らかにおかしいです。
色々と他の可能性を考えてみてもしっくりくるのが見つからなかったので、これは彼なりに「出来るだけ早く見つけてやれ」という最後の優しさだったのかもしれません。
時系列について解説
それでは最後に時系列をまとめてみましょう
【全ての始まり】
- イェンスの娘、リリーが誘拐され自殺
- 犯人のエリックが逮捕され懲役3年8か月
【3年8か月後】
- エリックが出所
- イェンスがエリックを監視
- 数時間目を離したすきにレベッカが誘拐される
- イェンスはレベッカの父親フィリップと監禁現場に向かうが、タッチの差でレベッカ自殺
- エリックは痛めつけられるが、報酬としてハンナを差し出すと言われ利用される。
【事件発覚前】
- 裁判官がエリックに襲われる
- ハンナが誘拐される
- フィリップはエリックを殺したと思い込み自殺
- エリックはフィリップの自殺を見届け、自分が死んだように見せかけるために彼の遺体を細工する。※この時、ハンナの部屋の鍵と携帯を身につけさせなかった。
- 時を同じくしてレベッカの母親も自殺
- リンダがフィリップの遺体を海岸で発見(物語冒頭)
【事件発覚当日】
- 主人公は公園で発見されたレベッカの母親の検視を行う。
- 事件発覚、主人公とハンナが携帯ごしに話す
- エンダーがハンナの携帯をフィリップの遺体に持たせる
- リンダがハンナの携帯にかかった主人公からの着信に出る
- リンダとエンダーがフィリップ解剖
- エリックが施設内に侵入※エレベーターが動き出す直前に、通り過ぎる姿が一瞬うつる
- リンダたちは裁判官の家に向かう
- 主人公たちがイェンスの家に到着
- 戻ってきたリンダたちだが、ほどなくしてエンダーがナイフで刺される
- 裁判官の遺体のヒントから、主人公たちはGPS座標まで向かう
- GPS座標についた主人公たちはイェンスに眠らされてトレーラーに連れていかれる
- イェンス自殺で事件の真相を知る
- リンダとエリックが格闘
- 主人公たちが島に渡る
- リンダ救助
- ハンナ救助
- エリックが飛行機から落ちて終了
以上!時系列でまとめてみましたが、まだまだ新しい発見があるかもしれません。
まとめ
今回、おすすめのサスペンス映画『カット/オフ』の解説と考察をしてみましたが、たぶん私が見つけられなかった点がまだあると思います。
最初は気づかなかったけど、「よく見ると全然顔が違う」といったこともあるので、ホントよくできた映画だなぁとあらためて感心しました。
あなたもぜひ2回、3回と何度も観返してたのしんでくださいね。
最後までお読みいただきありがとうございました。